あらすじ
とあるシステムセンターで、
二足歩行アンドロイドが稼働していた。
名をプグ助と言い、
姉のメシルコと共に、
システムセンターで役割りをこなしていた。
だが、プグ助はつまみ食いのクセにより
システムセンターの制御AIのパパちちに
抹消処分を言い渡されてしまった。
しかし、解体の前日の夜、
謎の存在回路しゃんと出会い、
システムセンターから
飛び出していった。
回路しゃんと共に長い旅へと
行く事になったプグ助だが、
二人(?)のこれからの旅路に
果たして何が
待っているのやら・・・
始めに
この創作物はフィクションであり、
実在の人物及び団体とは関係ありません。
しかし、こちらの認識不足により、
以前から活動されている方々の活動内容及び
創作内容と重複してしまう場合も考えられます。
この場合、相互の活動の住み分けの為に、
こちら側での名称変更及び内容の見直しなど、
公の場での発表の後、プラン修正として考えております。
「こちらの創作物の内容について何かございましたら、
連絡をいただければ、
再考の後に内容修正いたします。」
この考えをこちらの基本的な活動方針とし、
この創作物の内容にて、
全ての皆さんに、このストーリーを贈ります。
第二章 (りゅうぐうじょう)
海面は静かに波打っていた。
風は穏やかで、肌にふれると温かさを感じる事が出来る。
時に荒れ狂う力強さを見せる時があるものの、
今は大地を優しく包んでいる。
この、力強く優しく見守る存在に、
自然は生命の安らぎを覚えた。
ひょんな事からプグ助は、
「エネルギー分散調整回路の意志」という回路しゃんと
旅をする事になった。
だが・・・
「ブヒ、ザリガニさん見つけたブヒ。」
と、なぜかプグ助は、用水路のザリガニを捕まえていた。
「プグ助さん、そのザリガニをどうするのですか?」
「ブヒ、塩ゆでにして食べるブヒ、
ゆでて食べるとプリッとして味わい深いブヒ。」
ザリガニを茹でて食べる気満々なプグ助に回路しゃんは、
旅の目的と内容が伝えきれていないと感じた。
そこで回路しゃんはプグ助に説明をする事にした。
「プグ助さん、残念ながら今回の目的は
ザリガニではありません。」
「ブヒ、そうなの?」
「ぼくちゃんがフレッシュな食材を食べた感想を
回路しゃんに伝えるための旅だと思っていたブヒ。」
「そういう側面もありますけど、
今回の目的は別の場所にあるのです。」
「ブヒ、そうだったブヒか、
それじゃあザリガニさんを逃がすブヒ。」
プグ助は、ザリガニを食べれなくて残念な様な
ザリガニの命を守れて良かった様な感じで、
ザリガニを用水路へ戻した。
このプグ助を見ていた回路しゃんは、
プグ助に聞いてみた。
「プグ助さんは、ザリガニが目的だった場合
ザリガニを食べるのですか?」
「ブヒ、ザリガニさんには申し訳無くなるけど、
食べる時はザリガニさんの命を無駄にせず
残さず食べるつもりだったブヒ。」
「なるほど、プグ助さんは「おつむいい天気な性格」と
思っていましたが・・・」
「「食べ物に関しては割り切った考え方」なのですね。」
「ブヒ、背に腹はかえられないブヒ。」
回路しゃんは、「おつむいい天気な部分」と
「イノブタ貪欲畜生な部分」が同居しているプグ助を
興味深く見つめていた。
「それより回路しゃん、
この旅の最初の目的地ってどこブヒ?」
「そうですね、目的地について説明しましょう。」
回路しゃんはプグ助に、この旅の最初の目的地を伝えた。
「ブヒ、「りゅうぐうじょう」?」
プグ助は不思議そうな顔をして回路しゃんに聞いた。
「りゅうぐうじょうって、昔話でよく聞くアレブヒか?」
「はい、人々に語り継がれている
昔話などに出てくる伝説の場所です。」
「ブヒッ・・・」
プグ助は回路しゃんに、疑いのまなざしを向けた。
「どうしましたプグ助さん。」
「ブヒ、ぼくちゃん少しだけ回路しゃんを
うさんくさく感じてしまうブヒ。」
「もしかして回路しゃんはぼくちゃんを騙して
ミートショップにぼくちゃんを売ろうと
してるんじゃないかと思ってしまうブヒ。」
「まぁ、プグ助さんのその意見は
分からなくもありません。」
「ブヒ、りゅうぐうじょうって本当に存在するブヒか?」
何やらブヒブヒ言い始めたプグ助に、
「プグ助さん、
りゅうぐうじょうは間違い無く存在します。」
と、回路しゃんは答えた。
「ブヒ、そうなの?」
「でも、どうやってりゅうぐうじょうへ行くブヒか?」
このプグ助の質問に回路しゃんは、
「話によると、亀という存在が
りゅうぐうじょうへの手がかりらしいのです。」
と、プグ助に答えた。
プグ助は少し考えた末に・・・
「分かったブヒ、
回路しゃんを信じてまずは亀さんを探してみるブヒ。」
という事になった。
・・・
こうしてプグ助は、亀を探す為用水路をたどって
少し川幅のある河川敷へ来た。
すると、水辺で甲羅干しをしている亀を見つけた。
「ブヒ、亀さんを見つけたブヒ、捕まえてみるブヒ。」
さっそくプグ助は亀を捕まえようとしてみたが・・・
亀はプグ助を上回るスピードの体の動きにより、
プグ助を翻弄した。
「ブヒ、亀さんの動きが速すぎて捕まえられないブヒ。」
ポチャン・・・
亀はプグ助を嘲笑うかの様に、
水辺から水中へと帰っていった。
これを見ていた回路しゃんは、
「すみませんプグ助さん、
亀よりゆっくりなプグ助さんの
ほほえましくてユーモラスな動作に、
思わず笑みを浮かべてしまいました。」
「ブヒ、笑い事じゃないブヒよ回路しゃん、
これじゃあ日が暮れてしまうブヒ・・・」
と、プグ助がグッタリ途方に暮れていると、
誰かがプグ助に声をかけてきた。
「お前ぇさん、亀を捕まえたいのか?」
「ブヒッ?」
プグ助に声をかけたのは、釣り人風の老人だった。
この老人にプグ助は、
「ブヒ、亀さんを捕まえて
りゅうぐうじょうへ行きたいブヒ。」
と、もはやおつむいい天気どころではなく、
病院で見てもらった方がいいと
思ってしまう様な返事をした。
しかし、この老人はプグ助を疑う事もせず、
「時々現われる
りゅうぐうじょうを探し求める
「探求者」か・・・」
と、呟いた。
「ブヒ、探求者って何ブヒ?」
「言葉のままじゃよ、
りゅうぐうじょうを探し求める者という意味でのな。」
「お前ぇさんがりゅうぐうじょうを探し求める理由は
「乙姫」か?」
という老人の質問に、プグ助は答えた。
「違うブヒ、
りゅうぐうじょうのおいしい食べ物を
食べるためブヒ。」
「ほぅ、珍しい奴じゃのぅ。
りゅうぐうじょうを探す目的が
セクシャルな欲求では無いのか?」
「ブヒ、おいしい食べ物を食べる事が、
ぼくちゃんの旅の目的ブヒ。」
老人はプグ助をじっと見つめて少し考えていた。
そして話を始めた。
「昨日、わしの夢枕で誰かが
ここへ来れば良い事があると告げてはいたが、
もしかするとお前ぇさんとの「縁(えにし)」なのかも
知れないのぅ。」
「ブヒ、そうなの?」
「お前ぇさん、名は何て言う?」
「ブヒ、ぼくちゃんはプグ助と申しますブヒ。」
「気に入ったぞプグ助、
お前ぇさんの探求に付き合ってやるぞぃ。」
というわけで、
謎の老人がプグ助の手伝いをしてくれる事となった。
「かつて、ウラシマなる人物が亀を助けたお礼に
りゅうぐうじょうへ行ったと言われている昔話は、
うその話じゃよ。」
謎の老人はプグ助に、
りゅうぐうじょうにまつわる話を聞かせていた。
「ブヒ、昔話はうその話だったブヒか?」
「そうじゃ、
真実はウラシマなる人物が亀を助けて
りゅうぐうじょうへ行ったのでは無く、
ウラシマなる人物がりゅうぐうじょうに
捕えられたのじゃよ。」
老人はプグ助に話を続けた。
「りゅうぐうじょうという場所は
昔話にある様な楽園では無く・・・」
「「生け贄の祭壇」なのじゃよ。」
「ブヒ、いけにえのさいだん?」
「そうじゃ、
そしてりゅうぐうじょうという生け贄の祭壇に
連れてこられた者が、まず訪れる場所が、
生け贄の門と呼ばれている
「亀の門」なのじゃ。」
「ブヒ、亀さんは楽園への案内役ではなく
地獄の門番だったブヒか?」
「そうじゃ、
そして亀の門をくぐった先に、
タイとヒラメという存在がおるのじゃ。」
「タイとヒラメブヒか?
お刺し身食べさせてもらえるブヒか?」
「運が良ければ食事にありつけるが、
これも昔話の作り話じゃよ。」
「タイとヒラメは「ヤツ」を守る守衛でな、
選択を間違えたり生け贄に満たない入場者を
排除する為に存在しておる。」
「そして、
タイとヒラメの先に進んだ場所に、
「ヤツ」はおるのじゃ。」
「ブヒ、「ヤツ」って誰ブヒ?」
「りゅうぐうじょうを支配し、
手下を意のままに操り・・・」
「生け贄の祭壇へやって来た選りすぐりの
生け贄を喰らう者・・・」
「破壊神「乙姫」じゃよ。」
「ブヒッ、乙姫は破壊神だったブヒか。」
「そうじゃ、
ヤツは時の流れを操り、
選りすぐりの生け贄を探す為のシステム・・・」
「りゅうぐうじょうを構築したのじゃ。」
「そして、
ヤツの姿を見た生け贄に満たない者を、
次の生け贄を探す手段として・・・」
「「玉手箱の封印」で拘束するのじゃよ。」
「この玉手箱の封印により拘束された者は、
次の生け贄を探す為のスカウトマンとして
時を止められて使役される。」
「この使役されている
スカウトマンが見つけた個体が、
次の生け贄候補なのじゃ。」
「ブヒ、大変な話ブヒね。」
話を聞いて遠い空を心配する様なプグ助に、
謎の老人は・・・
「ほれっ、これを見てみろ。」
と、自らの手の甲をプグ助に見せた。
「ブヒ、何か不思議な模様ブヒね、
箱の様な形の模様ブヒ。」
「これこそがヤツが施した封印、
「玉手箱の封印」じゃよ。」
「ブヒッ・・・」
「わしの名は「浦島太郎」と言う。
生まれ出でより今年で930年経った。」
この謎の老人浦島老の話を聞いたプグ助は、
思い浮かんだ疑問を聞いてみた。
「ブヒッ、
ぼくちゃんを生け贄にしようとしているブヒか?」
このプグ助の質問に浦島老は返事をした。
「違う、
ヤツに生け贄を差し出す為では無い。
ヤツを倒せる者を探して生きてきた。」
「そして昨日、
わしの夢枕で誰かが言った。
ここへ来ればこのわしの願いを
叶える事が出来る存在と会えるとな。」
「それがお前ぇさんだ、プグ助。」
「ブヒ、そうなの?」
プグ助は浦島老の話を、
少し催眠商法みたいな内容と思いながら話を聞いた。
「さぁプグ助よ、
わしと共にあの忌まわしきシステム・・・」
「りゅうぐうじょうと破壊神乙姫を打ち倒すのじゃ。」
この話を浦島老から聞かされたプグ助は、
「ブヒッ・・・
めんどくさそうブヒ・・・」
と、思わず小声で口に出してしまった。
しかし、浦島老の真剣な表情を見たプグ助は・・・
まずは回路しゃんと相談してみる事にした。
「ぼくちゃんぶっちゃけ面倒くさいと思ってしまうけど、
真剣な浦島さんを放ってはおけなくなるブヒ、
でもこの話を受けると、回路しゃんとの契約と
ダブルブッキングになってしまうか
どうかも心配でブヒグデーっとなってしまうブヒ。」
このプグ助の相談に回路しゃんは、
「私の目的は
プグ助さんがりゅうぐうじょうで食べる
食べ物の感想を聞く事ですから、
これを果たせるなら問題は無いですよ。」
という返答だった。
割と軽いタッチの回路しゃんの返答を
得られたプグ助は少し考え、
「ブヒ、浦島さんに協力するブヒ。」
という運びとなった。
・・・
「それで浦島さん、
りゅうぐうじょうへは
どうやって行くブヒか?」
と、プグ助は浦島老に聞いてみた。
すると浦島老は、こう答えた。
「りゅうぐうじょうへは、
基本的にこちらからは
移動して行く事は出来ん。」
「ブヒ、行けないのに
どうやってりゅうぐうじょうへ行くブヒか?」
「りゅうぐうじょうは行くのではなく、
りゅうぐうじょうがやって来るのじゃよ。」
「ブヒ、りゅうぐうじょうは
移動要塞か何かなのブヒか?」
プグ助が疑問を覚える中、
浦島老は手の甲の玉手箱の印を空にかざした。
すると、上空の空間が渦を巻いて、
空間の渦から門が出現して下りてきた。
「ブヒッ、亀の彫刻や模様の描いてある門ブヒ。」
「これがりゅうぐうじょうの使い、
「亀の門」じゃよ。」
浦島老は手の甲を門にかざした。
すると、亀の門は静かに開き始めた。
「さぁプグ助、
この先がりゅうぐうじょうじゃ。」
「ブヒ、行ってみるブヒ。」
プグ助と浦島老は、
亀の門の奥へと歩いて進んだ。
・・・
プグ助と浦島老が長い通路を進んで行くと、
広い空間へたどり着いた。
そこには、りゅうぐうじょうが存在していた。
プグ助はりゅうぐうじょうを見ると、
「ブヒ~、
温泉旅館のテレビCMみたいブヒ~。」
と、驚いてるのかガッカリしているのか
よく分からない反応だった。
しかし、魚が空中を泳いでいた。
この風景にはプグ助は驚いていた。
「ブヒ、空中を魚達が泳いでいるブヒ。」
「この魚達は、
破壊神乙姫により力を与えられ、
りゅうぐうじょうを見回る監視員という役割りで
使役されているのじゃよ。」
「ブヒ、そうなの?」
魚達に見つめられながらプグ助と浦島老は、
空間の奥にある建物へと向かって進んだ。
すると、空中を泳いでいた魚達が
プグ助達の周りから離れていった。
「もうすぐ、
タイとヒラメがやって来るはずじゃ・・・」
「ブヒ、タイとヒラメブヒか?」
「でも浦島さん、
周りにはそれらしい姿は見えないブヒ。」
と、プグ助が浦島老に言った直後・・・
ビューーーン・・・
プグ助の目の前を、
目に見えない何かが
すごいスピードで横切っていった。
「ブヒッ、
目の前を何かが通っていったブヒ。」
「今のがタイじゃよ、
動きが速くて人間の目では形を認識出来ん。」
動きの速いタイは、
プグ助達の周りをグルグルと回る様に動いていた。
そして、
「ヒラメよ、
いつものチェックを始めるタイ。」
タイがこう言うと、
プグ助達の足下から声が響いてきた。
「あぃよ兄さん、手伝うラメ~。」
すると、プグ助達の足下の床の模様が変化して
大きなヒラメへと姿を変えた。
プグ助達を振り落としたヒラメは
タイと合流した後、
プグ助達の周りをすごい速さで回り始めた。
プグ助達は、
まるで洗濯機の中にいるかの様に
空気の渦でかき回された。
「ブヒブヒブヒ~、目が回るブヒ~・・・」
「これが、
タイやヒラメの舞い躍りチェックじゃよ。」
「ブヒ~ッ・・・
舞い躍りを見ると言うより
ぼくちゃんが舞い躍らされてるブヒ~・・・」
こうしてしばらくした後、
タイとヒラメは高速周回運動を停止した。
「チェック終了タイ、
「藻」の様な個体だから
「あの方」へ何もしないはずタイ。」
「ブヒ~、
目が回ってクラクラだブヒ~・・・」
高速周回運動の空気の渦でフラフラなプグ助達に、
タイとヒラメは食べ物を渡した。
「さぁ二人共、
あの方と会う前にこれを食べるタイ。」
「あの方の為の、
コンディションを整える効果のある食べ物ラメ~。」
そして、タイとヒラメは去っていった。
・・・
「ブヒ・・・
少し落ちついてきたブヒ。」
プグ助達は、渡された簡易食を見てみた。
「ブヒ、
りゅうぐうじょうの食事だから
お刺し身だと思ってたのに
がっかりブヒ・・・」
「まずくはないが、
この食事はヤツが生け贄を喰らう前の下準備じゃよ。」
「ブヒ、
ナッツ風味で割といけるブヒ。」
簡易食を食べながら、
プグ助達は建物の中へと歩いていった。
すると、
浦島老がプグ助に言った。
「プグの字よ、
この先にヤツはおるが・・・」
「わしの目的にお前ぇさんを付き合わせて良いのか
悩むわぃ・・・」
「ブヒ、
この先にいる破壊神を倒す事ブヒよね?」
浦島老はプグ助に、
うなずいて返事をした後、話を始めた。
「少し昔話になるがのぅ・・・」
「わしには妹がおってのぅ、
昔は「兄さん」「姫っ子」と呼び合っては
家の外へ出かけて
芋掘りや水辺遊びをしたもんじゃ・・・」
「わしらの家の近くには
「水辺の社」という水神様をまつる社があってのぅ、
わしと妹の出かけ場所としてよぅ行っていたわぃ。」
「しかしある日、
わしらは社の中で遊んでいた時に、
水神様の石像を壊してしまったんじゃよ。」
「そして、どうしようと思っていたわしらの前に、
一人の男がやって来たのじゃ。」
「その男は、名を「ヘビ」と言った。」
『あちゃ~、お客はん達、
水神様の石像壊してまったんでっか~、
大変でっせ~。』
『この石像壊してまった事が村中に知れたら
えらい事になりまっせ~、
下手したら責任として社の水神様の裁定言い渡されて
罰受けてしまいまっせ~。』
『でもお客はん、
この罰をお値打ちで、
このヘビが請け負いまっせ~。』
「ブヒ、
請け負いサービス業の業者さんが
やって来たブヒか?」
「わしと妹は、お値打ち価格で
このヘビという男に請け負ってもらう事にした。」
『それじゃあお客はん、
お会計でっけど・・・』
『お客はん達の人生という「時」と、
わが社の新事業のりゅうぐうじょうへの労働協力
という「価値」をお支払い願いまっせ~。』
『そんな、法外な請求だ。』
『あぁ~ん?お客は~ん、
社の水神様の裁定の罰の請け負いを
ナンボだと思ってるんでっか~、
あめ玉買う値段ではききまへんで~。』
「ヘビは人間の姿から禍々しい姿に変わり、
わしらにこう言った。」
『さぁお二人はん、
この破壊神のワイと
りゅうぐうじょうへ行きましょか~?』
『うちで働いてる間は
人生の時間の流れは止めまっさかい、
ぎょうさん働けまっせ~、
お値打ちでっしゃろ?』
『お兄はんには呼び込み、
妹はんには乙姫のビジュアル面
受け持ってもらいまっせ。』
「わしと妹は、
請け負ってもらった分は支払おうと
了承したのじゃが・・・」
『500年働いて支払いは出来たはずだ。』
『お兄は~ん、
請け負った元本に
利子が発生しとりまんがな~、
信用構築の出来てへんお客はんに
請け負い融通するには、
こっちも利子もらわんと融通出来まへんからな~、
元本と利子も含めて・・・
合計1500年働いて行きましょか~。』
「ブヒ、
悪徳セールスだったブヒか?」
「その後数百年間、
わしはいろんな場所でのヘビの噂を耳にして・・・」
「ヘビが悪どい取り立てを行っている
悪徳請け負い業だった事を知ったのじゃ。」
「ブヒ・・・
胃もたれするギトギト話ブヒ・・・」
浦島老の話を聞いていたプグ助は、
ぎっとりした内容にフラフラになった。
「それからのわしは、
このヘビを打ち倒せる逸材を探したのじゃ。」
「そして、このヘビを倒せる逸材が、
お前ぇさんじゃよプグの字。」
「ブヒ、そうなの?」
「しかし、
このわしの目的にお前ぇさんを付き合わせるのは
気が咎める・・・」
「プグの字が嫌と言うなら、
この先へ進まず帰る事も出来る。」
「ブヒ~・・・」
プグ助は浦島老のまじめな表情を見て少し考えた後、
「ブヒ、破壊神は倒しておくにかぎるブヒ、
行ってみるブヒ。」
と、返事をした。
このプグ助の言葉を聞いた浦島老は、
大きく息をはいた後・・・
「これでわしらは一蓮托生じゃ、
それじゃあ行くぞぃプグの字。」
「ブヒッ。」
こうしてプグ助と浦島老は、
建物の奥へと進んでいった。
・・・
建物の奥へと歩いてきたプグ助達は、
りゅうぐうじょうの最深部の空間にやって来た。
空間は吹き抜けのホール状の部屋だった。
そして、空間の中央の柱の前側に、
若い女性の石像が埋め込まれている
巨大なレリーフが存在していた。
「ブヒ、
このレリーフが破壊神ブヒか?」
プグ助が浦島老に聞くと、浦島老は首を横に振り、
「このレリーフに眠っているのは、
わしの妹の姫っ子じゃよ。」
と、プグ助に説明した。
浦島老とプグ助は、
レリーフを静かに見つめていた。
すると、
レリーフを見ていたプグ助達に向かって
空間から声が響いてきた。
「我が養分となる生け贄よ、
よう来まったなぁ~・・・」
「ブヒッ、
レリーフがしゃべったブヒか?」
「違う、
ヤツがやって来るのじゃよ。」
そして次の瞬間、
空間の中央にある柱に巻きつく様な
透明な体のヘビが姿を現した。
「ブヒッ、何者ブヒか?」
「よう来なすったな~、
ワイがこのりゅうぐうじょうの主、
破壊神乙姫やで~!」
「お兄はんの方は呼び込みご苦労でんな~。」
「生け贄の方は、
何ともけったいなイノブタでんな~。」
ヘビは柱から床へボトッと降り、
レリーフの前で体をくねらせ、
とぐろを巻いて半透明の顔にある目を光らせていた。
「ブヒ、何か化粧してるケバいヘビだブヒ~。」
「プグの字、
あれがりゅうぐうじょうの破壊神乙姫
という「乙ヘビ」じゃ。」
プグ助と浦島老は、乙ヘビと向き合った。
乙ヘビは浦島老に、
「この生け贄のイノブタを喰うた後は、
また呼び込みに行ってもらいまっせ~。」
と言ったが、浦島老はプグ助の方を見て言った。
「その必要は無いんじゃよ、
プグの字がこれからお主を打ち倒すからのぅ。」
「ブヒ、
逸材のぼくちゃんにまかせておくブヒッ!」
プグ助は、乙ヘビに対して、
もっさりとしたファイティングポーズをとった。
そしてプグ助は、破壊神乙ヘビに・・・
「くらうブヒッ、
ぼくちゃんの逸材アタックだブヒー!」
と、突撃を行なった。
しかし、乙ヘビは・・・
「これはイキのいいイノブタ生け贄でんな~、
我が養分としていただきますで~。」
パクッ・・・
「ブヒ~~~・・・・・・・・・」
プグ助は、
突撃をくらわす前に乙ヘビの口の中へと
喰らわれていってしまった。
「ゲプッ、
さぁお兄はんの方は呼び込みに戻って
次の生け贄を連れて来なはれ。」
乙ヘビは浦島老にこう言ったが、
浦島老は言い返した。
「さっきも言ったはずじゃ、
プグの字がお主を打ち倒すのじゃよ。」
「何言うてまんのや、
さっさと次の・・・
うっ・・・」
浦島老の目の前で、
なぜか乙ヘビが突然苦しみ始めた。
「(夢枕のお告げが本当なら、
プグの字が何とかするかも知れん・・・)」
・・・
「ブヒ、
まっ暗で何も見えないブヒ。」
プグ助は、乙ヘビに飲み込まれたものの、
乙ヘビの腹の中で生存していた。
本来なら、乙ヘビの体内の消化液により
分解されるはずだが、
チタン合金フレームと
分子結合被膜のプグ助の体は、
乙ヘビに消化されず存在出来ていた。
「ブヒ、ライトで照らしてみるブヒ。」
プグ助は、自らの目に内蔵されている
サーチライトを作動させて周りを見てみた。
「ブヒ、
ねばっとした肉壁の空洞だブヒ。」
プグ助は肉壁をポコポコとたたいてみた。
弾力のある肉壁以外は、
特に変わった部分は無かった。
プグ助は、
先に続く空洞を歩いていった。
「ブヒ、奥へ進んでみるブヒ。」
プグ助は奥へと向かって歩いていた。
すると、
先の方で何者かの声が聞こえてきた。
「困ったカメー、
どうすればこの消化液ゾーンを突破出来るカメー。」
と、プグ助はヘビの体内の奥で、
なぜか1匹の亀と出くわした。
「ブヒ、
ヘビの体の中になぜ亀さんがいるブヒ?」
プグ助が亀を見て疑問に思っていると、
亀の方もプグ助に気付いた。
「おぉー、
ここへ来てから「竜宮城」のメンバー以外の
他者に初めて出会ったカメ。」
「私は竜宮城の主たる乙姫の十二の下僕の
「亀吉」と申しますカメ。」
「ブヒ、
ぼくちゃんはプグ助、
破壊神乙姫を倒すために来た逸材ブヒ。」
「亀さんは破壊神乙姫の下僕ブヒか?」
プグ助はもっさりファイティングポーズで構え、
警戒態勢をとった。
しかし亀は、
「プグ助さんという方、
我が主乙姫は
決して破壊神などではございませんカメ。」
「ブヒ、
乙姫は乙ヘビが化けている破壊神だという情報を
入手しているブヒ。」
プグ助の話を聞いた亀吉は我が耳を疑った。
そしてプグ助に聞き返した。
「プグ助さんという方、
詳しい話を聞かせて下さいカメー。」
「ブヒ、かくかくしかじかブヒ。」
「何という事だカメー、
竜宮城を飲み込んだあのヘビが、
我が主乙姫に化けたうえに、
りゅうぐうじょうなる物を築いている
ですとカメー!」
プグ助からこれまでのいきさつを聞かされた亀吉は、
驚きと憤りのあまり、
肉壁を前足でペチペチと叩いて、
プグ助と会話を続けた。
「ブヒ、
じゃあ亀吉さんの主の乙姫は
破壊神とは違うブヒか?」
「とんでもない誤解ですカメー、
我が主の乙姫は清らかで崇高なお方。」
「破壊神などと言う下賤な者とは違うカメー。」
「ブヒ、そうなの?」
「プグ助さん、
ここで会ったのも何かの縁だカメー、
まずはこの奥に存在する竜宮城に居られる
我が主乙姫とお会い下さいカメ。」
プグ助は亀吉の話を聞き、
「竜宮城の主たる乙姫」と会う事にした。
「ブヒ、行ってみるブヒ。」
・・・
プグ助は亀吉の背に乗って、
乙ヘビの体内の奥に存在する
竜宮城へ向かった。
そして・・・
「プグ助さん、到着したカメー。」
亀吉に連れられた場所でプグ助は・・・
乙姫の下僕達が結界フィールドにより
守りを固めて防衛している宮殿・・・
紛れもない竜宮城の姿を見た。
「ブヒ・・・
何かすごい事になってるブヒね・・・」
「はい、
あのヘビが竜宮城を
「時空圧縮空間保存時間流停止領域」
により飲み込んだ時に、
乙姫の十二の下僕のうちの十体で、
「領域過干渉因子遮断防御陣」
によるフィールドで守りを固めている
今現在の竜宮城の姿ですカメー。」
プグ助が亀吉の背に乗りながら、
口を開けて風景を見ていると・・・
「亀吉、どうしたのだ?」
と、竜宮城の正門から声が聞こえてきた。
亀吉はこの声に返事をした。
「「鯛さん」、
とあるお客さんを連れて来ましたカメ。」
「ブヒ、
鯛さんって誰ブヒ?」
「乙姫の十二の下僕のリーダーですカメ。
とてもしっかりしている存在カメ。」
鯛さんに亀吉は説明をした。
「鯛さん、
これこれこういう訳ですカメ。」
すると、鯛さんという存在は、
「なるほど、相解った。
乙姫には伝えておく。
乙姫への謁見を許可する。」
と、許可がおりた。
プグ助を背に乗せた亀吉は、
竜宮城の中へと入っていった。
こうしてプグ助は亀吉の背に乗り、
竜宮城の最深部に存在する
「本物の乙姫」と会うべく、
宮殿の中へと進んでいった。
・・・
「ここが「乙姫の間」ですカメー。」
プグ助は亀吉に連れられて、
竜宮城の最深部へとやって来た。
「ブヒ、
広い空間だけど、
まん中に何か置いてある以外は
何も無いブヒ。」
空間の中央には台座があり、台座の上には
「大きなシャコ貝」が存在していた。
「乙姫、
とあるお客をつれてまいりましたカメ。」
と亀吉が伝えると、
空間内に声が響いてきた。
「話は鯛から聞いています。
旅のお方よ、
よくぞお越し下さいました。」
「ブヒ、乙姫ブヒか、どこにいるブヒ?」
プグ助は、空間内をキョロキョロと見まわした。
これを見た亀吉はプグ助に言った。
「プグ助さん、
乙姫はプグ助さんの目の前に居られますカメー。」
「ブヒッ?」
プグ助は台座の上にいる
大きなシャコ貝に目を向けた。
「ようこそ竜宮城へ、
わたくしが竜宮城の主、乙姫です。」
「ブヒ、
シャコ貝が乙姫だったブヒか。」
プグ助は乙姫と会った。
しかしプグ助は、
「てっきりきらびやかな美人ビジュアルな存在が
乙姫だと思ってしまってたブヒ。」
以外そうなプグ助に乙姫は、
「その様なおもてなしも
出来ない事は無いのですが、
わたくしは無意味に感じます。」
「ブヒ、そうなの?」
「プグ助という旅のお方、
話は下僕から聞いています。」
「まさか、ヘビがその様な事をしていたとは、
思いもよりませんでした。」
「ブヒッ、大変だったブヒよ~。」
「プグ助という旅のお方、
竜宮城と深く関わった貴方に・・・」
「竜宮城のこれまでの歴史を
お話しいたしましょう。」
・・・
今よりはるか昔・・・
宇宙に大いなる光が生まれ、
後にこの地という大地と海が誕生しました。
大地は海に活力を、
海は大地に潤いを、
それぞれに分け与え合い発展しました。
そして大地と海というこの地のバランスを
それぞれで制御する為、
わたくしは海側の管理者として
この地に生を受け誕生しました。
海側の管理者としてわたくしは、
大地と海とを円滑に機能させるべく、
そして大地側との調整を行う為、
十二の下僕と連絡役を誕生させました。
この、大地側と海側双方を行き来する
連絡役の名を「ヘビ」と名付けました。
「ヘビは大地と海とを行き来する連絡役として、
当初は良く働いていました。」
「わたくしの事を『海ねーたん』と呼んでくれて
『大地にーたん達と勉強してくる』と言って、
機嫌良く働いてくれていました。」
「ちんちくりんだったヘビも、
いろんな経験をしてきたのでしょう。」
「いつの頃からか、
『ねーさん、これからは陸の時代でっせー』と
言う様になった事を、
今では懐かしく思い出します。」
「そして、ある日・・・」
『ねーさんや竜宮城を守る為や、
この陸側との契約に
ねーさんが同意してくれたら・・・』
『ねーさんと竜宮城、
そして海側は安泰やで。』
「と言う様な話を持ちかけてきました。」
『ヘビよ、そんな不確定な内容の話に
乗って良いのですか?』
『わたくし達は海に生きる存在、
大地側とは生存環境が異なるのですよ?』
「ブヒ、そうブヒね。」
「するとヘビは・・・」
『ねーさん、時代が変わってますねんて、
ワイは陸側のエリアも見てきたけど、
そりゃ~もうすごい発展と景気の良さでしたでー。』
「と、わたくしの不安を説得するかの様に
言っていました。」
『このままじゃ海側は陸側のにーさん達の発展に
遅れてしまうて。』
『ねーさんがこの契約に同意してくれたら、
ワイがねーさんと海側に
融通出来る様になるさかいな。』
「わたくしは疑問を抱きつつも、
ヘビの海側を想う気持ちを信じて、
契約に同意しました。」
『おっしゃねーさん、これからは海側は安泰やでー、
がっぽり稼いで来るわー。』
「と、ヘビは陸側へと向かって行きました。」
「ブヒ、契約に同意しちゃったブヒか。」
「そして、
しばらくたったある日・・・」
『ねーさんえらい事やー、
陸側が変動の暴落で
ワイも差し押さえられてしもうたー。』
『担保にしてた海側も全部パーに
なってもうたー。』
「ブヒ、えらい事ブヒ。」
『これからどうするのですか?』
『ワイも担保も差し押さえられてまうけど、
ねーさんと竜宮城は守るさかい。』
『陸側の取り立てから守る為、
ねーさんと竜宮城をワイが飲み込むけど・・・』
『負債を返したら、
ねーさんと竜宮城を自由にしてやるさかいな・・・』
「こう言ったヘビは、
わたくしと竜宮城を自らの中へ飲み込みました。」
『ワイがドロをかぶってでも、
以前の海に戻してやるさかいなー。』
「この言葉を最後に、
ヘビとは連絡が途絶えました。」
・・・
「そして今現在が、この様な現状です。」
「ブヒ・・・
愛憎怨怒とゼニがらみ風味のギトギト話ブヒ・・・」
乙姫の話を聞いたプグ助は、
世の中の世知辛さを聞いて500グラム痩せた。
「おそらくヘビは、
負債を返す為に奔走しているのでしょう。」
「ブヒ・・・
とほうもない話だったブヒね・・・」
「ヘビの行いは許されぬ事ですが、
契約に同意してしまったわたくしにも
責任がございます。」
「そこで、プグ助さん、
貴方に「これ」を託します。」
乙姫はプグ助に、ある物を渡した。
「ブヒッ、
宝石みたいにキラキラ光っている玉ブヒ。」
「この竜宮城が機能を始めた時から
少しずつ海側の自然エネルギーを
溜めて貯えた・・・」
「「海のメユの結晶」です。」
「ブヒッ、
海は分かるけど「メユ」って何ブヒ?」
「メユとは、
自然のエネルギー概念という形の呼び名です。」
「ブヒ、
海という自然のエネルギーが
宿っている宝玉ブヒね。」
プグ助は乙姫から、
海のメユの結晶を受け取った。
(パンパカパンパーン)
「おそらくは、ヘビの背負ってしまった負債を
返す足し位にはなると思います。」
「プグ助さん、
この海のメユの結晶を使って
ヘビを清算してあげて下さい。」
「この清算により、
わたくしと竜宮城が
ヘビもろとも清算されるとしても。」
プグ助は乙姫の話を聞いて、
竜宮城という存在の存続を心配した。
「ブヒ・・・
乙姫はそれでいいのブヒか?」
「はい、
竜宮城の主というわたくしの責任です。」
「ブヒッ・・・」
プグ助は少し悩んだ末、乙姫に答えた。
「ブヒッ、
ぼくちゃんやってみるブヒ。」
「ありがとうございますプグ助さん、
竜宮城を貴方に託します。」
乙姫はプグ助に竜宮城の宝玉を託し、
プグ助に委ねた。
「それではプグ助さん、
今からわたくしの力を使って、
プグ助さんを竜宮城の外へ向けて
転送いたします。」
「ブヒ、
しっかりと働いてくるブヒ。」
というわけで、
プグ助は乙姫の力で
竜宮城の外へ向かって転送されていった。
・・・
体内の竜宮城の外では、
乙ヘビがプグ助という異物を
吐き出そうとして悶えていた。
そして・・・
「ゲハッ・・・」
と、乙ヘビが大きな咳をした瞬間、
乙ヘビの口からプグ助が
転送により飛び出てきた。
「ブヒ~ッ、
外に出てこれたブヒ~・・・」
すったもんだがありながらも、
プグ助は乙ヘビの体内から
浦島老の元まで戻ってきた。
「おぉープグの字、
無事じゃったか、心配したぞぃ。」
浦島老はプグ助の姿を見て、
ほっと胸を撫で下ろした。
「ブヒ、
スペシャルアイテムを持ってきたブヒよ!」
「おぉ、当てにはしていなかったが、
中々良い仕事師じゃのぅ。」
「ブヒ、
ぼくちゃんという逸材を
あまり当てにしてなかったブヒか?」
「うむ、
やる気は感じてはいたが、
「下手な釣針数ありゃ釣れる」位の
期待度じゃ。」
「ブヒッ・・・
ぼくちゃんの逸材感台無しブヒ・・・」
と、プグ助と浦島老が話をしていると、
異物を吐き出した乙ヘビが回復し、
プグ助達に向かって体勢を整えていた。
「何をゴニョゴニョと話してまんねや、
また飲み込んでやりまっせ~。」
プグ助達へ向けて、乙ヘビが再び身構えた。
しかしプグ助は、
「ブヒ、
さっきまでのぼくちゃんとは
一味違うブヒ。」
と、さっそくプグ助は、
海のメユの結晶を天高くかざした後、
呪文をとなえた。
「大いなる光よ、
大地と海の恵みたるこの結晶により、
この破壊神を清算するブヒ。」
「!」 「!」
プグ助の呪文に、
浦島老と乙ヘビは、
何が起きるのかと驚いた。
だが、しかし・・・
「ブヒ・・・
何も起きないブヒ・・・」
プグ助イメージでは、
ここでピカーンキラビヤカーンドバシャーンと
乙ヘビを封印するエフェクトが発動
する予定だったが・・・
「おかしいブヒッ、
この宝玉で清算出来ると聞いていたけど、
何も起きないブヒ・・・」
プグ助が宝玉を見てブヒモタしている様子を見て、
浦島老がプグ助に話しかけた。
「プグの字、清算というのは、
お会計とか店で金を払う時に使う言葉なんじゃよ。」
「ブヒ、
それじゃあこの宝玉は
お会計で使うために渡された物で、
破壊神を倒すための
スーパーパワーの封印起動アイテム
じゃなかったブヒか?」
「・・・(あちゃ~)」
浦島老はプグ助のおつむいい天気具合に、
思わず手で顔をおおった。
プグ助達がブヒブヒモタモタしてる時、
乙ヘビがプグ助達の目の前まで来ていた。
「そないなガラス玉で
ワイの物理エネルギーを無効にしようなんて、
オツム弱いんでっか~、
疲れをいやす為に丸飲みせずに
ミンチにしてやりまっせ~!」
と、プグ助達に襲いかかってきた。
「ブヒブヒブヒ~、
宝玉の使い方も分からないから
ピンチブヒ~!」
「わしも目的を果たせず
ここまでか・・・」
と、乙ヘビの牙が迫って来る
プグ助と浦島老は諦めかけた。
だが、次の瞬間・・・
「その噛みつき、
ちょっとお待ちなはれ。」
「ブヒッ?」 「?」 「そ・・・その声は・・・」
と、プグ助と浦島老と乙ヘビが、
場に聞こえてきた声に動きを止めると・・・
「ジャンジャンジャーン。」
という、何ともヘンテコな声がした後、
プグ助達のいる空間の上に渦が出現した。
そしてこの上空の渦から、
空中に吊るされたブランコに乗って、
何か変な存在が空間内に降りて来た。
「ブヒッ、あなたは誰ブヒ?」
すると、降りて来た変な存在は、
「あなたは誰ってか?
わたすは「社の水神」ってもんだ。」
「そすて、
そこの乙ヘビに貸し与えている
債権者だっぺや~。」
「ブヒ、そうなの?」
「さ・・・債権者はん、
何でここに来たんでっか~?」
と、乙ヘビが驚いていると、
「あんでもね~けどよ、
いい反応がここへ来ればあるって聞いてよ~、
ほいでここへ来てみたらよ~、
そこのイノブタの持ってるモンが
目に止まってよ~、
めんどくせ~けど
ちょっと降りて見に来ただ~よ。」
「ブヒ、これの事ブヒか?」
「そないなガラス玉に、
何で債権者はんは興味持つんでっか~?」
「乙ぼう、
おめさまの言葉を聞くと、
姉さんの苦労が偲ばれるだぁ~よ。」
社の水神にプグ助は、
海のメユの結晶を見せてみた。
すると・・・
「うん、げんちぃ(元気)な
海のメユの結晶だぁ~ね。」
「これなら、メユを価値に換算すなおすと、
3000年分位は大丈夫だぁ~ね。」
「おぅイノブタ、
名前は何つうんだべ?」
「ブヒ、
ぼくちゃんはプグ助と申しますブヒ。」
プグ助の名を聞いた社の水神は、
プグ助に問いかけた。
「この海のメユの結晶を、
わたすに売ってくれね~かや?」
「ダメブヒ、
これは竜宮城のためのスペシャルアイテムブヒ。」
「おぅイノブタ・・・じゃなくプグ助、
その辺のはなす(話)を聞かせなっせ~。」
「ブヒ、かくかくしかじかブヒ。」
社の水神にプグ助は、
これまでのいきさつを話した。
「んだべか、あんすん(安心)すろ
イノブタ・・・じゃなくプグ助。」
「この海のメユの結晶を
わたすに売ってくれれば、
全部清算出来るだぁ~よ。」
「ブヒ、そうなの?」
「んだ、
何つったってメユ3000年分だでな~、
乙ヘビ関連の債務を全部支払っても
おつりが戻ってくるだぁ~よ。」
「ブヒ、それじゃあ清算すると
竜宮城は元に戻るブヒか?」
「んだ、
元に戻るどころか、
竜宮城と乙ヘビと乙ヘビのりゅうぐうじょうと
浦島兄妹の債務が完済出来るからよ~。」
「つまりプグ助が竜宮城グループを買い取る
売買契約が成立するっぺよ~。」
「ブヒ、
竜宮城が元に戻るなら、
ぼくちゃんこの海のメユの結晶で
清算するブヒ。」
という事で、
プグ助は社の水神との売買契約により、
清算してみた。
「今ここに、
わたすが持ってる乙ヘビ関連の債権は
プグ助により買い取られ、
これにより乙ヘビ関連の議決権も
プグ助に委譲されたべや~。」
「よって、
乙ヘビ及びりゅうぐうじょう、
担保の竜宮城、
そすて浦島兄妹。」
「この全ての債務が清算されて、
この全ての議決権を持ったプグ助が
新オーナーとして決定されたっぺや~。」
「ブヒ、
ぼくちゃんが竜宮城グループの
オーナーになったブヒか?」
「んだ、
後は新オーナーに任せるだぁ~よ、
ウィーオァーウェー。」
プグ助と清算を済ませた社の水神は、
上空の渦へ戻っていった。
「ブヒッ、
社の水神様~ありがとうブヒ~。」
「お~う、
あんでもねぇ~よ・・・」
空間に、清々しい声が響いていた。
・・・
「さぁプグの字・・・
じゃなく新オーナー、
どうするのじゃ?」
プグ助に浦島老が新オーナーとしての方針を
聞いてみた。
「ブヒ、
どうすると良いブヒか?」
「わしとしては、
まずりゅうぐうじょうの組織改編と
姫っ子の解放じゃな。」
「ブヒ、
さっそくそうするブヒ。」
プグ助と浦島老は、乙ヘビに言った。
「乙ヘビよ、新オーナーの方針じゃ、
姫っ子の解放じゃ。」
「分かってまんがな、
新オーナーの方針に従いまんがな。」
乙ヘビはりゅうぐうじょうをプグ助に渡し、
レリーフに封じていた姫っ子を解放した後に、
浦島老の元に姫っ子を戻した。
「おぉ妹よ。」「あぁ兄さん。」
こうして、浦島兄妹は再会を果たした。
「ブヒ、良かったブヒ。」
と、浦島兄妹の再会を見守っていたプグ助に、
乙ヘビが話しかけてきた。
「新オーナーはん、
竜宮城はどうするんでっか?
ねーさんと竜宮城への方針が、
ワイの納得いかんもんやったら、
ワイは全力で拒否しまっせー。」
「ブヒ、
グループの運営って難しいブヒ・・・」
プグ助が乙ヘビと話していた時、
どこからか声が聞こえてきた。
「新オーナーのプグ助さん、
ここは竜宮城とりゅうぐうじょうを
統合してみてはいかがでしょうか。」
「ブヒ、その声は乙姫ブヒか?」
「ねーさん・・・
お久しぶりでんなー・・・」
「あの日以来でっから、
ワイはねーさんと話しづらいでっすゎ・・・」
こう呟いた乙ヘビに乙姫は
ゆるやかに声をかけた。
「ヘビよ、
良く竜宮城を守ってくれました。
後は新オーナーにお任せしましょう。」
「・・・仕方ありまへんな、
ねーさんの御心のままに任せまっすゎー。」
乙ヘビは何かを思い、乙姫に返事をした。
そしてプグ助に言った。
「新オーナーはん、
オーダーくれたらワイも動きまっせー。」
「ブヒ、
それじゃあ竜宮城とりゅうぐうじょうの
統合を進めるブヒ。」
「はいな、毎度おおきに。」
新オーナーのプグ助の方針により乙ヘビは早速、
りゅうぐうじょうを自らの上側の組織としての
乙姫の竜宮城へ運営を委ねた。
「ワイも肩の荷がおりましたわ。」
「これからはねーさんの部下として、
下働きからやり直しでいきまっせー。」
何かさっぱりした顔の乙ヘビに、
竜宮城の鯛さんが話しかけた。
「ヘビよ、
これからはお主の部下の面倒も
しっかり見てやる。
共に乙姫を守り立てるのだ。
同期のお主が戻る事で、
竜宮城は再び活力を
取り戻す事だろう。」
「そうでんな鯛さん、
これからはよろしゅー頼んますな。」
鯛さんと乙ヘビの会話を聞いていた乙姫は、
やさしい笑みを浮かべていた。
こうして、
竜宮城は新たな体制により
再スタートする事となった。
・・・
新オーナーのプグ助は、
「ブヒ、
グループをまとめる役は乙姫に
全権を委任しておくブヒ。」
「あと、浦島さんと妹さんに
スーパーバイザーとして
相談役になってもらうブヒ。」
という事にしてみた。
竜宮城グループ
CEO(最高経営責任者)
・乙姫
部門総括責任者
・鯛
各十二部門及び交渉営業部門
・それぞれの部門員及びヘビ
※(旧りゅうぐうじょうのメンバー及び設備は
新竜宮城の十二部門へ統合。)
竜宮城運営におけるスーパーバイザー
・浦島兄妹
・・・
「はぁー、
新しい竜宮城になって忙しいカメー。」
亀吉は、忙しそうに竜宮城の中を
かけ回っていた。
「亀吉さん、
これはどこに運ぶタイ?」
「亀吉さん、
こっちの荷物はどうするラメー?」
「とりあえずは、
それぞれの部門の方へ運ぶカメー。
分からなくなったら
鯛さんに聞いてみるカメー。」
「ふぅー、
次は亀の門のメンテナンスだカメー。」
この様にあわただしい竜宮城に、
声が響いてきた。
「みなさん、
この新しく生まれ変わった竜宮城を、
全員の力で維持していきましょう。
わたくしもCEOとして
全力を尽くしますので、
どうかお力添えのほどを。」
はつらつとした乙姫の声に包まれ、
竜宮城の全員は元気に働いていた。
・・・
そして、
プグ助はというと・・・
竜宮城のオーナーとしての全議決権を
CEOの乙姫に委譲した後、
竜宮城における全権を手放し、
グループから離脱した。
これについては乙姫からの引き留めもあったが、
プグ助は・・・
「ブヒ、これで良いブヒ。」
「ぼくちゃんはいろんな味を食べてまわる旅で
忙しいブヒから、おまかせするブヒ。」
と言って、竜宮城から去っていった。
そして、
沖に存在する竜宮城のエリアの
陸側の砂浜を
プグ助は歩いていた。
「ブヒ、
ひと仕事終えてさわやかな気分ブヒ。」
と、プグ助がのんびり歩いていると、
プグ助に誰かが声をかけてきた。
「前オーナーはん・・・
じゃなくプグ助はん」
「ブヒ、
乙ヘビさん、どうしたブヒか?」
「プグ助はんと話がしたくて
営業まわりからちょっと抜けて
やって来たんや。」
「ブヒ、そうなの?」
プグ助と乙ヘビは、
水平線の見える長イスに腰をかけて話をした。
「ブヒ、乙ヘビさんは
これからは破壊神にならないブヒか?」
「あぁ~、
破壊神って言うてたんは、
売り文句として使ってましてん。」
「そやけど、
目が肥えてるお客はん多くて
途中で帰られてしまいましてん。」
「ワイのとこまで来た初のお客はんが
プグ助はんやから、
商売は難しいでんな~。」
「しかし、
プグ助はんは欲の無いお人でんなー。」
「竜宮城の権利持っとけばウハウハでしたのに、
もったいないでー。」
「ブヒ、
ぼくちゃん緊張と束縛が苦手ブヒよ。」
「そうなんでっか?」
「ブヒ、
自由に旅をする方が
ぼくちゃんの考えに合ってるブヒ。」
「プグ助はんは変わりもんでんなー、
でも・・・」
「そんなプグ助はんやから、
ワイが勝てんかったんでんなー。」
「プグ助はんの勝ちや、
ワイはプグ助はんに
自らが負けた事を認めますわー。」
「ブヒ、そうなの?」
「そうでっせー、
大したお人やでプグ助はんは。」
「竜宮城も元に戻ってワイも安心や、
そやから・・・」
「ねーさんの心ばかりのお礼と、
ワイのお礼をプグ助はんに渡す為に
来ましてん。」
「ブヒッ?」
プグ助は乙ヘビから、
乙姫及び竜宮城(+乙ヘビからのお礼)
を受け取った。
「プグ助はんにはお世話になったさかい、
ワイの分おまけしときましたで。」
「おっと、
ワイは営業まわりで行くとこありまっさかい、
これで失礼しまっすゎ。」
「ブヒ、
乙姫や竜宮城のみんなによろしくブヒ。」
「分かりまった、
ねーさんやみんなに伝えときまっすゎ。」
「ほいじゃプグ助はん、
これからも良い旅を。」
こうして、
プグ助の元から乙ヘビは去っていった。
プグ助は乙姫達からの
贈り物を開けてみた。
すると・・・
「ブヒッ、
全国共通商品券ブヒ、
しかもしっかりした内容ブヒ。」
「この内容なら、
しばらくは食いっぱぐれないブヒ。」
竜宮城からの贈り物に
ホクホクしているプグ助に、
「プグ助さん、
りゅうぐうじょうの食べ物は、
どの様な味でしたか?」
と、回路しゃんがプグ助に問いかけた。
「ブヒッ、
説明するのは難しいブヒけど・・・」
「ナッツ風味で割りと食べごたえがあって、
りゅうぐうじょうも乙姫の力ぞえで・・・」
「しっかりとした竜宮城に経営統合されて、
これからは発展していくと思うブヒ。」
「あと、全国共通商品券をもらえたブヒから、
しばらくは食いっぱぐれなく
食べ物を口に出来るブヒ。」
と、プグ助は回路しゃんに
今回の報告を行なった。
このプグ助の説明を聞いた回路しゃんは・・・
「すみませんプグ助さん、
子供の感想文の様なプグ助さんの説明に、
思わず・・・」
「おつむいい天気な人だなと思って
微笑ましくなり
笑みがこぼれてしまいました。」
「ブヒ、
ぼくちゃんはこれでも
逸材たる竜宮城グループの
前オーナーブヒよ。」
「でも今は全権を手放して、
イノブタ貪欲畜生旅人ですけどね。」
「ブヒ、
ぼくちゃんはこれでいいブヒよ~。」
「仕方ありませんね。」
プグ助と回路しゃんは、
竜宮城エリアを後にした。
「それじゃあプグ助さん、
ここは気持ちを切り替えて
次の目的地へ向かいましょう。」
「ブヒ、そうブヒね。」
プグ助は回路しゃんに、
次の目的地の説明を聞いた。
「プグ助さん、
次の目的地は・・・」
と、回路しゃんがプグ助に説明する前に、
「ブヒ、
道の先に食べ物屋さんの看板が見えるブヒ。」
「次の目的地に行く前に、
まずはもらった全国共通商品券で
何か食べていくブヒ。」
と、プグ助は回路しゃんの説明も聞かずに、
歩く先に見えた食べ物屋へ向かって
走っていった。
これを見た回路しゃんは・・・
「まったく・・・
とんだイノブタ貪欲畜生旅人ですね・・・」
と、呆れつつも
プグ助の後を追って進んでいった。
プグ助と回路しゃんの旅は、
これからも続く。
(りゅうぐうじょう編 完)
次回予告
プグ助と回路しゃんは、
次の目的地へとやって来た。
しかし、
そのエリアでは・・・
「おぅ、
さてはサザエやアワビを狙う
密漁者だな!」
そしてさらに・・・
「天と地と海が交わる
この瞬間の月見の場所取りで
先をこされた・・・ピュー・・・」
「ブヒ、そうなの?」
さらにさらに・・・
「ここまで来れた頑張りに
良い事教えてやるピュー。
今はちょうど満月の日の昼の満潮だが、
今から夕方にかけては引き潮の時間だピュー。」
「ブヒ、引き潮ブヒか?」
・・・
プグ助と回路しゃんの旅路に
まちうけているものとは?
プグ助の、いろんな味を食べてまわるブヒー旅
次回にどうぞご期待下さい。
(つづく)
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